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【ホテル浦島】変わらない価値を、未来へ。「懐かしくて、新しい。」リニューアルに込めた地域への想い

和歌山県那智勝浦町にあるホテル浦島は、創業70周年を迎え、「懐かしくて、新しい。」をコンセプトに日昇館のリニューアルをしました。
ホテル浦島日昇館リニューアル記念式典には、株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)冨山和彦会長、和歌山県の宮﨑泉知事、那智勝浦町の堀順一郎町長、浦島観光ホテル株式会社代表取締役社長・松下哲也氏らが出席し、新たなホテル浦島の姿と、その先の地方創生に向けた未来について語りました。

今回のリニューアルでは、ロビーやレストラン、客室などの改装にとどまらず、ホテルの未来、地域の未来、そして熊野・南紀エリア全体の発展を見据えた想いが込められていました。
式典で語られた冨山和彦会長の地方創生への構想、そして式典後に行った松下哲也社長への個別インタビューを通して、「ホテル浦島が目指す次の100年」をご紹介します。

「懐かしくて、新しい。」ホテル浦島が目指したリニューアル

リニューアルコンセプトは「懐かしくて、新しい。」。
長年ホテル浦島を愛してきた人には変わらない安心感を、そして初めて訪れる人には新鮮な感動を届けたい。そんな想いから、今回のリニューアルが実現しました。

ロビーには木の温もりを感じる空間を採用し、熊野の自然をイメージしたデザインへ刷新。新たなロゴには、浦島を象徴する波のモチーフが取り入れられています。

客室は「うらしまブルー」を基調に、太平洋を感じられる落ち着いた空間へ。

新レストラン「Chef’s Live Kitchen URASHIMA」では、刻々と表情を変える海を眺めながら食事を楽しめるほか、ライブキッチンを導入し、音や香りまで含めた五感で楽しむ食体験が堪能できます。

紀州の食材を中心としたビュッフェを提供

館内をつなぐ「うみのトンネル」も大きく生まれ変わりました。

海中世界をイメージした演出や和歌山県産のお酒を置いたスタンドバー、その隣には、子どもも楽しめるおやつキャッチャーも設置。

他にも、昔から変わらぬ寺周辺地域のジオラマや地域の魅力を紹介する展示などを設け、移動する時間そのものが旅の思い出となる空間へと進化しています。

さらに、自動チェックイン機を導入し、効率化だけではなく、デジタル化によって生まれた時間を、お客様との会話や旅の提案など、人だからこそできるおもてなしへ充てるという考えが込められているそうです。

熊野の自然が生んだ、天然洞窟温泉「忘帰洞」

ホテル浦島を象徴する存在といえば、やはり天然洞窟温泉「忘帰洞」。

海底が隆起してできた天然の岩窟に湧き出る温泉は、紀州藩主・徳川頼倫公が「帰るのを忘れるほど」と称え、その名が付いたと伝えられています。

目の前には雄大な太平洋が広がり、波が岩肌に打ち寄せる音を間近に感じながら湯に浸かる時間は、まさに自然と一体になるような体験。人の手では決してつくり出すことのできない、この土地だからこそ存在する唯一無二の温泉です。

今回、ロビーや客室、レストランなどは時代に合わせて生まれ変わりましたが、ホテル浦島が最も大切に守り続けてきたのは、この忘帰洞をはじめとする「自然が与えてくれた価値」でした。

松下社長は「自然から与えられた変わらない価値は残し、変えられる体験は変えていく」と語ります。その言葉どおり、ホテル浦島は歴史や自然という変わらない魅力を未来へ受け継ぎながら、食やサービス、おもてなしといった新たな体験価値を積み重ねています。

忘帰洞は、70年にわたり人々を魅了し続けてきたホテル浦島の象徴であり、「懐かしくて、新しい。」という今回のリニューアルコンセプトを最も体現する存在なのだと感じました。

「20年、30年先に何が残るのか」冨山会長が描く地方創生

式典では、JPiXの冨山和彦会長が、ホテル浦島の未来と地域への想いを語りました。

「70年前から続いてきた歴史そのものが素晴らしいこと。その歴史を受け継ぎながら、10年後、20年後、30年後に何を残せるのかという視点が大切です。」と冨山会長が繰り返し語ったのは、「長い時間軸で地域を見る」という考え方でした。

東京のようなスピード感ではなく、熊野には何百年という歴史や文化が息づいている。その価値を未来へ受け継ぎ、南紀地域全体を発展させていくことが、ホテル浦島の役割でもあるといいます。

「孫の世代が、『おじいちゃんたちがやったことって格好いいよね』と思える地域を残したい。」とコメントし、ホテルのリニューアルはゴールではなく、次の70年、そして100年へ向けた新たなスタートとして、熊野・南紀という地域全体の未来へ向けた第一歩。そのメッセージが、冨山会長の言葉から強く伝わってきました。

さらに、和歌山県の宮﨑知事も「稼ぐ観光」を推進する上で重要な取り組みだと期待を寄せ、観光産業の成長には賃上げや人材育成が欠かせず、ホテル浦島の挑戦は地域経済にも大きな波及効果をもたらすとの考えを示されていました。
また、那智勝浦町の堀町長は、長年地域経済を支えてきたホテル浦島への感謝を述べるとともに、「ホテル浦島といえば忘帰洞。その魅力をさらに磨き、地域を代表する存在として発展してほしい」とエールを送りました。

松下社長が語る、ホテル浦島の未来

式典終了後、松下哲也社長に個別インタビューをさせていただきました。

今回のリニューアルについて率直な感想を尋ねると、「良いものができたという実感はあります。ただ、本当に大切なのはこれから。お客様にどう評価していただけるか、そのためにもっとエネルギーを注いでいきたい」と、良いものができたという達成感よりも、「これからお客様に評価していただくことが大切」という言葉が印象的でした。

「温泉や自然、地域の文化や歴史、そして人。そうした物語がホテルの価値をつくっています。」と、ホテル浦島は、熊野の自然や文化、地域の人々とともに70年の歴史を歩んできことを語り、今回のリニューアルも、古いものを壊して新しくするのではなく、自然から受け継いだ価値は残しながら、新しい体験を加えていくことを大切にしたといいます。

「20年前は、一人の宿泊客でした」これまで歩んできた人生とは

ホテルの未来について語る松下社長。その考え方の背景には、これまで歩んできた人生経験がありました。

松下社長は大阪市出身。新卒で帝国ホテルに入社し、22年間にわたって現場から支配人まで幅広い経験を積んできました。その後、熊本で宿泊業を取り入れた地域開発事業に挑戦するも、大規模災害の影響により計画は頓挫。土地も計画も失い、大きな挫折を経験しうつ病にまでなったそうです。

「人間、いつ死ぬかわからないと思うと、なんでもできてしまう。」と、その経験を糧にして経営を学び、ホテル運営やアセットマネジメントなどさまざまな現場を経験した後、2023年に浦島観光ホテル株式会社の代表取締役社長に就任しました。

「実は20年ほど前、お客様として家族でホテル浦島に泊まったことがあるんです。その時は、まさか自分がこのホテルの社長になるなんて思ってもいませんでした。」そう笑顔で振り返る松下社長。
ホテル浦島との出会いは、一人の宿泊客として始まっていました。その縁が20年の時を経て社長という立場へつながったことに、不思議な巡り合わせを感じます。
さらに、松下社長の娘さんも宿泊したそうで、ホテル浦島が大切にしてきた「世代を超えて受け継がれる場所」という価値とも重なります。

「また帰ってきたい」を生み出すホテルへ

松下社長が目指しているのは、お客様の記憶に残るホテル。
新たなレストランではライブキッチンを導入し、料理の味だけではなく、音や香り、ライブ感まで含めた食体験を演出する。

あえてレトロなゲームコーナーを残したのも、「懐かしさ」そのものがホテル浦島の魅力だからこそです。

ホテル浦島の名物である亀の送迎船もエンジンや内装はリニューアルされたが、外観は変えずに昔からの雰囲気を継承。さらに、スタッフがお客様を船が見えなくなるまで見送るなど、人だからこそできるおもてなしに力を入れていくとのこと。

「夏に来た方が、冬にも来てみたい。また家族を連れて来たいと思っていただける場所にしたいですね。」と季節毎に訪れたくなるホテル浦島を構想されています。

勝浦へ来る理由をつくる。生マグロのブランド化

ホテル浦島だけではなく、地域全体の魅力向上についても松下社長は熱く語りました。
特に力を入れたいのが、生マグロのブランド化!
「勝浦の生マグロは本当においしい。でも、その価値はまだ十分に伝わっていません。」と、関サバや関アジのように、「勝浦へ行けば、生マグロが食べられる」と全国から人が訪れるようなブランドを目指したいといいます。
ライブキッチンではマグロの解体ショーも楽しめるとのことで、勝浦の生マグロの魅力が伝わる仕掛けが散りばめられています。

「冬になったらカニを食べに日本海へ行くように、『マグロを食べるために勝浦へ行こう』という文化をつくりたい。」と語り、「ここへ来る理由をつくること。それが地方創生につながると思っています。」とホテルで提供する食の価値をさらに高め、地域全体の魅力へとつなげていく未来を描いていました。

唯一無二の「うみのトンネル」

今回のリニューアルで印象的だった場所の一つが、「うみのトンネル」です。

「開発をやってきた人間だから分かるのですが、この下を通る車道トンネルも含めてホテル一軒建てられるくらいの投資がされています。それくらい価値のある空間なんです。」と、松下社長は就任前、初めてホテル浦島を訪れた際、この「うみのトンネル」に最も衝撃を受けたといいます。

他のホテルにはない、ホテル浦島だけの個性であるここのトンネルは、何気なく歩くだけだった空間を、旅の楽しみの一つへと変えていきます。 その発想にも、今回のリニューアルの考え方が表れていると感じました。

100年先も愛されるホテルを目指して

ホテル浦島が目指すのは、単に新しく生まれ変わることではありません。
自然が生み出した価値を受け継ぎ、人の温もりを感じられるおもてなしを磨き、地域とともに歩んでいくこと。そして、ホテルの成長が地域全体の活性化へとつながる好循環を生み出すことだと感じます。

「規模や売上だけで一番になりたいとは思っていません。関西を代表する、お客様の心に残るホテルになりたい。」そう語る松下社長の言葉からは、ホテルだけでなく地域全体の未来を見据える強い意志が伝わってきました。

創業70周年を迎えたホテル浦島。「懐かしくて、新しい。」というコンセプトのもと、受け継ぐべき自然や歴史を守りながら、新たな価値を創り続ける挑戦は始まったばかりです。次の100年へ向けて、熊野・南紀の未来とともに、次の100年に向けて歩みを進めています。

ホテル浦島
■所在地:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦1165-2
■URL:https://urashimaresortsandspa.jp/wakayama-hotelurashima/

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