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伊豆のクラシックホテル、川奈ホテル宿泊記~唯一無二の空間と王道の朝食

相模灘を眼前に望み、富士山や丹沢連峰、三浦半島、房総半島などを一望するドラマティックなロケーションにたたずむ「川奈ホテル」。

「イギリスの城」をテーマにつくられた伊豆の名門ホテルで、「日本クラシックホテルの会」に加盟する「クラシックホテル」としても知られています。 今回は、そんなユニークな個性を放つ川奈ホテルにステイ。優美かつ重厚な空間や、絵に描いたような王道の朝食などを堪能してきました。

1936年創業、各界の要人を迎えてきたクラシックホテル

川奈ホテルのストーリーは、英国留学経験を持つ大倉財閥二代目総帥 大倉喜七郎が、「いつか自分も英国貴族のような城を持ちたい」と夢見たことに始まります。そして、それにふさわしい絶景の地として見出されたのが川奈でした。

当初はここにイギリス風の城と牧場を作るつもりでしたが、川奈の土壌が牧草地に不向きだったため、スコットランドのリンクスコースをイメージしゴルフ場建設へと計画を変更。1928年にゴルフ場として「大島コース」を開業します。

1936年には、宿泊施設として「川奈ホテル」がオープン。戦後はアメリカ軍による接収を受けますが、接収が解除されてからは、お正月を川奈で過ごすことがステータスとなります。

多くの著名人にも愛された川奈ホテルは、政財界の要人や昭和天皇、今上天皇、マリリン・モンローをはじめとする銀幕のスターなど、各回の大物を迎え入れながらその歴史を刻んできました。

英国に長く留学し、「バロン(ヨーロッパにおける貴族の称号の一種)」と呼ばれた大倉喜七郎が「イギリスの城」をテーマにつくった川奈ホテル。

メインロビーの暖炉の上に掲げられた鷲のエンブレム、左右対称に配置されたイタリア製の大理石の柱、巨大なシャンデリアなど、大倉のこだわりが詰まった特注品の意匠が、唯一無二の優美な空間をつくり出しています。

とりわけ印象的なのが、1936年の開業当時と変わらないたたずまいを残すメインロビー。

大理石と伊豆石を使った暖炉、ヨーロッパの城にもある魔除けの意匠である「悪魔に剣」と「魔女除けの薬草」、革を張り替えて開業当時から使い続けているソファなど、空間を構成する要素のひとつひとつが、歳月に裏打ちされた重厚感を醸し出しています。

どっしりとした雰囲気のメインロビーとは打って変わって、相模灘に張り出したガラス張りの「サンパーラー」は、明るい陽光が降り注ぐ開放的な空間。富士山や三浦半島・房総半島・伊豆七島を望み、晴れた日には約100km離れた東京スカイツリーまで見渡すことができ、川奈の雄大な自然が身近に感じられます。
ホテルに早めに到着してランチを楽しむもよし、パノラマビューを眺めながらゆっくりと午後のティータイムを楽しむもよし。自然に囲まれた川奈に身を置く喜びを、じっくりと味わいたいものです。

館内には、開業当時から変わらずに守られてきた意匠の数々があちこちに散らばっています。空間全体を俯瞰で見たり、ひとつの意匠に注目して近づいてみたりと、クラシックホテルならではの美をじっくりと愛でてみましょう。

クラシカルなたたずまいはそのままに、モダンで快適な客室

川奈ホテルの客室は、本館・新本館合わせて全100室。2018年3月から行われていた客室改装工事が2020年6月に完了し、昭和初期の近代建築の魅力を残しつつも、現代のホテルとしての居住性と快適性を兼ね備えたシックな空間に生まれ変わりました。

今回筆者が宿泊したのは、本館ガーデンビューツイン。川奈ホテルの中ではお手頃な客室ですが、それでも26.4平米と広さは十分。シンプルかつ落ち着いた空間ながらも、レトロなシャンデリアや館内の意匠のパネルがクラシックホテルらしい雰囲気を醸し出しています。 ほかにも、オーシャンビューのお部屋やバルコニーのあるお部屋、和洋室などさまざまなタイプの客室があるので、予算や好みに応じて選んでみてください。

これぞクラシックホテル!王道の朝食

「ホテルステイは朝食が楽しみ」という人も多いはず。川奈ホテルでは、「これぞクラシックホテル」と感じさせてくれる王道の朝食をいただくことができます。 洋定食と和定食の2種類から選ぶことができ、メインダイニングでいただく洋定食は、川奈ホテルのエンブレムの焼き印がついたオムレツがアイコン。

メニューは以下の通り、洋朝食の王道といえる内容で、奇をてらったものはありませんが、ひとつひとつ良質の素材を使って、丁寧に作られていることがわかります。

・ジュース(オレンジ、グレープフルーツ、ミルク、トマトジュース)
・ヨーグルト
・フルーツ
・玉子料理 (フライ、スクランブル、ボイル または オムレツ)
・ハム・ベーコン または スモークサーモン
・トースト または ライ麦パン または クロワッサン
・野菜サラダ ・コーヒー または 紅茶

とりわけ、ナイフを入れるととろとろの半熟卵が飛び出すオムレツは絶品。素敵な朝食で1日が始まると、改めてクラシックホテルに滞在している実感がこみ上げてきて、幸福感もひとしおです。

去りがたく、また帰ってきたくなるホテル

実際に宿泊してみると、80年以上の歴史の中で固有のストーリーを紡いできた川奈ホテルには、最近オープンしたばかりのホテルにはない美意識とエレガンスが詰まっています。 創設者、歴代のゲスト、ホテルで働くスタッフと、多くの人に愛され、たくさんの人の想いが息づいているからこそ、川奈ホテルは去りがたく、「また帰ってきたい」と思えるホテルなのではないでしょうか。

川奈ホテル
■場所:静岡県伊東市川奈1459
■電話:0557-45-1111
■URL:https://www.princehotels.co.jp/kawana/

ピアソン編集部

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